消化吸収のはなし③・胃について
さて今日は、消化吸収のはなし第3回目となりまして、今回のテーマは『胃』のお話しです。
前回までは、口腔編ということで咀嚼や唾液についてふれてきました。
よく噛んで唾液と混ざり呑み込みやすい状態になった食べ物は、舌で『咽頭』まで運ばれます。
咽頭に運ばれた食べ物は、嚥下反射(喉から食道まで一気に運ぶ運動を起こす反射のこと)により『食道』へと運ばれるます。
この『食道』は、口から胃までの間の筋肉で出来た管で、食べ物を口から胃まで蠕動運動で送り届けてくれていて、長さは25~30cmほどです。
食道では消化・吸収は行なわれておらず、胃の内容物が逆流して口の方へ出てくるのを防ぐなどの、食道の上端と下端には括約筋が備わっています。
食道は、胃まで飲み物や食べ物を運ぶ輸送管のような役割であると言われているけど、食道がんなどがあるくらいだから、なにか他にも特別な役割があるような気がしてなりません。
新たに情報を入手した際は、改めて書き記してみようと思います。
さて、ここからは『胃』のおはなしです。
胃に入ってきた食べ物は、胃壁から分泌
される胃液と混ざり合い、胃の蠕動運動
で細かく砕かれておかゆ状になります。
ドロドロになった食べ物は、少しずつ
十二指腸に運ばれてゆきます。
胃には吸収作用はほとんどなく、水と
アルコール・ブドウ糖などがわずかに
吸収される程度です。
この胃壁から分泌される胃液は、1日になんと約1.5ℓ分泌されます!!
唾液にしてもビックリな分泌量でしたが、この胃液も1日に摂取する水分量に匹敵するほどの量が分泌されるなんて知っていましたか?!
さてさて、この胃液ですがpHは1~2の強酸性で、無色透明で99%が水・消化酵素・塩酸・粘液で、消化と殺菌など重要な役割があります。
【 胃液の成分 】
●塩酸:口から入った細菌などを殺菌し、ペプシノーゲンをペプシンに変換する(強酸性)
食物の消化や、ウイルスや細菌の増殖を抑えたり、殺菌する働きがあり腐敗や発酵を防いでくれる
●粘液:胃粘膜表面を覆い胃壁が塩酸に荒らされるのを防いでくれる(胃底腺・噴門腺・幽門腺の副細胞より分泌)
●ペプシノーゲン:胃から分泌されるペプシノーゲンは、塩酸によって活性化されてペプシンに変わります
ペプシンは、タンパク質の大きな分子を細かく分解する消化酵素で、十二指腸での本格的な消化・吸収に備えます
●その他 ガストリン:幽門部から分泌される消化管ホルモンで、胃液分泌に関わり胃の運動を促進します
私たちの身体は、胃の中に食べ物が入ってくる刺激で胃液を分泌するとともに、更に蠕動運動を強めてゆき、上図の噴門と幽門の間で消化が行われています。
そして、胃の出口にある幽門弁では、胃液処理の終わった食べ物が胃から出て行く量を調節しています。
こうして、次に運び込まれる小腸での本格的な消化吸収の下ごしらえのような作業が、口腔から胃までの間で行われているのはイメージできたでしょうか?
それにしても、ここまでに唾液約1.5リットル、胃液1.5リットル、食事から摂取される水分量も含め相当な水分量です。
このように摂取した食べ物は、水分まみれのびしゃびしゃの状態で小腸へと送り届けられます。
次回は、『小腸』のおはなしへと続きます(*^-^*)